【Open Innovation Talk Report EP.006】個人も企業も進化する新しいワークプレイス〜第6回「トッパンタイランド」〜 - mediator

Blog 【Open Innovation Talk Report EP.006】個人も企業も進化する新しいワークプレイス〜第6回「トッパンタイランド」〜

2021年11月15日 (月)

TJRI
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新型コロナウイルスにより、否応無しに変化を強いられた私たちの働き方。場所も時間も従来の「固定する」という考え方を見直し、改革に乗り出す時期に突入しています。すでにニューノーマル時代の新しい働き方を試験的に導入している企業もありますが、多くの企業は具体的なアイデアを探している最中なのではないでしょうか。

「オフィスはもう必要ない?」「新しい働き方を実現するためには?」…。今回のオープン・イノベーション・トークでは、トッパンタイランドの坂本貴志マネージャーをゲストにお招きし、企業が今抱える課題についてお伺いしました。

培ってきた印刷技術をもとにデジタルソリューションを提供

ガンタトーン:
トッパンタイランドは2019年4月に設立されましたが、まずはその事業概要を教えていただけますか?

坂本氏:
本日はタイの方に多く参加いただいているので、先に我々の親会社である「凸版印刷」の説明を簡単にさせていただきます。印刷会社として1900年に創業した凸版印刷ですが、現在はその印刷技術をベースに「情報コミュニケーション」「生活・産業」「エレクトロニクス」という3つの事業領域を展開しています。

トッパンタイランドは、そのうちの「情報コミュニケーション」領域における子会社で、体験型の共創サービスの創出・企業価値向上の支援を目的に、リアルなコミュニケーション戦略とIT・IoTのデジタルが融合したソリューションをワンストップで提供しています。主な事業としてはスペースコミュニケーション、インバウンドツーリズム、マーケティングコミュニケーションです。本日のセミナーでは、ニューノーマルな社会に基づいた「個人も企業も進化する新しいワークプレイス」をテーマにお話しさせていただきます。

どうなる? これからのオフィスと働き方

ガンタトーン:
コロナに関わるさまざまな規制が緩和されてきた今、ワークプレイスを含めて「働き方をどうするか」はどの企業にも共通するテーマですね。

坂本氏:
皆さん、コロナ禍のWFH(Work-From-Home)を経て、出社しなくてもできる仕事と出社しなければできない仕事の区別が改めて明確になったのではないでしょうか。当然「オフィスはもはや不要」と考える人もいると思いますが、その一方でコロナ終息後は以前のようにオフィスに出社する人ももちろんいらっしゃると思います。ただ、オフィスで働く場合でもコロナ以前のスタイルには戻れないと感じている人も少なくないのではないでしょうか。

なぜなら、コロナによってオフィスに出社しないという新しいワークスタイルが一気に加速し、時間や場所といった働く環境の多様性が求められているからです。ポストコロナに向けて、この流れはさらに加速していくと考えています。これからの時代、企業の成長は次世代型の高度産業の導入や、イノベーションを生み出す環境が不可欠です。そのためには従業員の働き方の多様性を認め、イノベーションを生み出す空間として「新しいワークプレイス」が必要だと考えています。

DXに直結! “新しいワークプレイス” 実現のための3条件

ガンタトーン:
「新しいワークプレイス」を構築するために、具体的には従来のオフィスをどのように整備していけばいいのでしょう?

坂本氏:
キーワードとなるのが、「ABW(Activity Based Working)」です。ABWとは、時間や場所を限定しない多様性のある働き方を尊重し、従業員のパフォーマンスを最大化することを目的とした働き方の概念です。ニューノーマル時代は従業員一人ひとりがもっとも効率的にパフォーマンスを発揮できる環境が必要であり、このABWをワークプレイスの中に取り入れていくことが重要になってくると考えています。そのための必要条件として弊社が挙げているのが、 ①ABWを取り入れた空間・環境づくり ②IT / IoTを取り入れたデジタルツールの活用 ③円滑なコミュニケーション(IoA) です。

①ABWを取り入れた空間・環境づくりは、一人で集中して働くための空間や複数人でアイディア会議やブレストを実施するための空間、大人数でアクティビティを実施する多目的スペース、リフレッシュしながら働ける空間など、多様な働き方の実現とイノベーションを生み出すことを目的としたさまざまな設備やスペースのことです。

②IT/IoTを取り入れたデジタルツールの活用は、従業員やゲストの入退場の管理、会議室やフリーアドレススペースのオンライン予約、照明やエアコンなどいろいろな機能をアプリで一元管理するインテリジェントコントロール、QRコードを活用したキーレスのスマートロッカーなどさまざまな機能を導入すると同時に、そのデータを活用していくという特徴があります。

特にデジタルツールの活用は、従業員の皆さんが本来の作業以外にかかる時間や手間を削減でき、業務効率の向上に繋がります。同時に各作業が可視化されることで、企業側は従業員一人ひとりの働き方やその良し悪しの解析が可能になり、ひいてはさまざまな課題解決・改善へと導くことができます。これを弊社では、ワークプレイスにおけるDX(デジタルトランスフォーメーション)と位置づけています。

IoAでリモート時のコミュニケーション不足を解消!

ガンタトーン:
3つ目の条件である、円滑なコミュニケーション(IoA)についてはいかがでしょう?

坂本氏:
IoA(Internet of Abilities:能力のネットワーク)は、ネットワークを介して人間の意識や能力を拡張することを意味します。

弊社がIoAをもとに考案する未来の働く空間では、例えば「IoA POD™」という作業スペースがあり、5Gの通信技術とバーチャル技術を使って、まるで現実空間でコミュニケーションをしているかのようなデジタル空間を提供します。さらに、この空間には嗅覚を共有する「Aroma Shooter®」を使うことでよりリアルな状況を創り出すことができます。

「IoA 分身ロボット」は、ロボットが社内を歩き回り会議に参加したりオンラインで画面を通して繋がりながらリアルな環境で働くことと同様のコミュニケーションを実現することができます。さらに、自然な太陽光や青空を創り出す「Coelux®」と「Natural Window®」という機能によって、従業員がリフレッシュしたりリラックスしながら働ける環境を生み出すことも可能です。

これらはあくまでも一例ですが、我々は次世代型のワークプレイス実現のためにIoAを活用したコミュニケーションの提供を目指し、研究に取り組んでいます。今回ご紹介した内容が、皆さまが新しいワークプレイスを構築する際の一助になればと思いますし、今後も時代の変化に応じたより良いサービスをご提供していきたいと思います。

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執筆 山形 美郷

日本での編集業務を経て、タイのビジネス系・ライフスタイル系フリーペーパーなどで執筆。“タイの暮らし”をテーマに、現地に生きる人々のインタビューを通して現地のリアルを発信。ガイドブックや日本のカルチャー雑誌などでのライター・コーディネーター業務も請け負う。

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