タイ人経営者が描く協業ビジネスのビジョン 〜 Mitr Phol Group​|タイ人経営者インタビュー Vol. 2 - mediator

Blog タイ人経営者が描く協業ビジネスのビジョン 〜 Mitr Phol Group​|タイ人経営者インタビュー Vol. 2

2022年03月25日 (金)

インタビュー
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※本記事は、JCC所報(2022年3月号)に掲載されました。

こんにちは、mediator 代表のガンタトーンです。現在進めている「TJRI」プロジェクトの一環で、これまで100社以上のタイの大手企業の経営幹部にインタビューを行ってきました。彼らと対話をする中で、ビジネス戦略の一つとして日本企業との協業を視野に入れているタイ企業が想像以上に多いことを知りました。そこで、タイで活躍する日本人の皆様へ「タイ人経営者のビジネス観や日タイの協業ビジョン」を軸にした彼らの生の声をお届けします。

第2回目は、60年以上の歴史を誇る、アジア最大の製糖企業「Mitr Phol Group(以下ミトポン)」。ミトポンは、タイはもとより中国やラオス、インドネシア、オーストラリアにも生産拠点を持ち、世界第6位の市場規模を誇るサトウキビ生産と製糖事業のリーディング・カンパニーです。近年は、バイオ技術を活用した原料や製品開発、タイの国家戦略であるBCG(バイオ・循環型・グリーン)経済の促進にも力を入れており、事業を加速させるために積極的にパートナー企業を募集しています。そこで今回は、日本企業が協業できるビジネスチャンスはあるのか、ミトポンで新規事業開発を統括するCOOプラウィット氏に尋ねました。

Q. ミトポンは「製糖」から「エネルギー」へ事業を拡大し、今後の第3成長曲線の鍵を握るのは「バイオベース」とのことですが、その背景を教えてください。

プラウィット氏:私がミトポンに加わったのはちょうど第2成長曲線の初期でした。特にバイオ燃料事業、バイオエタノール生産のバイオリファイナリー複合施設の開発、バイオマス発電などバイオ燃料とガソールの消費の促進に努めてきました。現在、弊社の売り上げの63.9%は製糖事業、25.7%がエネルギー事業、そして7.6%が木材の代替事業となっています。タイには、製糖工場が8カ所、発電所は12カ所、エタノール工場は4カ所など様々な生産拠点を持っています。サトウキビの栽培面積は延べ250万ライ(約40万ha)、年間約2,500万トンの砂糖を生産しています。21世紀の今、SDGsに基づいた事業活動が求められており、今後のミトポンの事業展開として、バイオ技術を使って農産物をどのように代替エネルギーへ転換していくかが重要な鍵になると考えています。

Q. バイオ技術を使った代替エネルギーへの転換は、タイ政府が推進するBCG経済にもリンクしますね。では、ミトポンが力を入れている「サーキュラー・エコノミー」の具体的な方針を教えてください。

プラウィット氏:まず、持続発展可能な事業を展開していくために、「RESILIENCE(回復力)」がポイントになります。弊社はこれまで製糖事業を柱に成長を続け、第2成長曲線としてバイオマスやバイオエタノールなどを使った代替エネルギー事業が新たに加わりました。そしてこれからの第3成長曲線では、バイオベースを中心とした製品の付加価値をいかに高めていくかが重要だと考えています。これを実行することが、サーキュラー・エコノミー(循環型経済)の実現に繋がるでしょう。そのために、タイの新たな国家戦略であるBCGの取り組みも欠かせないと考えています。弊社にはイノベーション&リサーチセンターがあり、日々研究開発を行っていますが、限界があります。そこで、事業を加速させるために弊社にない強みを持った企業を探しています。

Q. 協業する上でミトポンが求める具体的なパートナー像はありますか?また、日本企業との協業の期待値や可能性を教えてください。

プラウィット氏:まず「製糖による副産物を活用して新たなサービスを開発できるバイオ技術」を持っている企業とは、主にバイオ技術を使った食品添加物と、バイオプラスチックの開発・生産を実現したいと考えています。弊社には農場や試験場などさまざまな生産拠点や農産物・副産物がありますので、それらを活用しながら開発を進めていくことが可能です。

次に「飼料用のバイオベース原料関連の技術」分野では、抗生物質の代替品をはじめ、畜産用の飼料、動物を対象としたヘルスケア製品(酵母を原料とした付加価値の高い製品)開発を実現できる技術を持った企業を求めています。弊社では、もともと酵母を肥料に使用していましたが、研究により飼料にも用いることができるようになりました。この分野はまだまだ伸びしろがあり、今以上に付加価値のある飼料を開発するために、一緒に研究できればと考えています。

最後に「グローバル市場に向けた製品展開を行うためのマーケティング」分野です。ミトポンの製品が新たな国へ進出する際に、商品開発から販路開拓・販売促進まで共に取り組んでいけるパートナーを求めています。商品は栄養補助食品、健康食品、プレバイオティクス食品やバイオプラスチック製品、イースト(酵母)由来の家畜飼料、バイオ肥料、有機質肥料、砂糖・砂糖関連食品、タピオカでん粉・加工でん粉など多岐に渡ります。

これまで自社グループ内で多くのプロジェクトに取り組んできましたが、先ほど挙げた分野では、日本企業の優れた技術力やマーケティング力に期待しています。日本企業との協業で、お互いのさらなる発展へと繋げていきたいと思います。

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執筆 mediator

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