【三菱電機 x EECO共催 日タイ修好135周年記念イベント】「EECがつなぐ日タイのコラボレーション2022 」開催リポート - mediator

Blog 【三菱電機 x EECO共催 日タイ修好135周年記念イベント】「EECがつなぐ日タイのコラボレーション2022 」開催リポート

2022年05月30日 (月)

販路開拓・進出
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三菱電機ファクトリーオートメーションタイランド提供

持続可能な経済発展に向けた日タイの官民連携の好例プロジェクト

三菱電機ファクトリーオートメーションタイランドは、5月20日に日タイ修好135周年を記念して、東部経済回廊(EEC)事務局と共催で、製造現場のデジタル化と脱炭素化の実現をテーマとした「EECがつなぐ日タイのコラボレーション2022」イベントを開催しました。

同社は、かねてよりEEC事務局やアライアンスパートナーと共同でチョンブリ県ブラパー大学敷地内に「e-F@ctory(インダストリー4.0 + 5Gモデルライン)」を導入したEECオートメーションパークの開発を進めてきました。

イベント当日は、官民の各セクターから500名以上がオンラインとオフラインで参加し、タイ政府が掲げる「タイランド4.0」政策の促進に向けたスマートファクトリーの実現のためのEECオートメーションパークの役割や導入企業の事例が紹介されました。

日タイをビジネスでつなぐプロジェクトTJRIを立ち上げたmediator代表のガンタトーンは本イベントの意義を次のように述べました。
「これまでの数十年間、タイと日本の経済戦略は政府主導のものでしたが、僕自身、mediator創業以来、両国の関係をより強固なものにするためには、官民の連携は欠かせず、そこをつなぐことを目指してきました。今回の三菱電機ファクトリーオートメーションタイランドとEECとの取り組みは、日本とタイの持続可能な経済発展のための官民主導のプロジェクトの好例と言えます。特にタイの政府や教育機関と対話を続けながら、今後タイが高度な産業化を目指すために必要な仕組み作りを行なっている点は、タイ経済、ひいては国民生活の向上につながり、タイを拠点にビジネスの拡大を目指す日本企業の模範となるでしょう。」

以下、本イベントの開催概要をリポートします。ぜひ今後のタイでのビジネス展開にお役立てください。

「EECがつなぐ日タイのコラボレーション2022」開催リポート

EECオートメーションパークに期待

三菱電機ファクトリーオートメーションタイランド提供

セミナーの開幕あいさつで最初に登壇したのはタイのスパタナポン副首相兼エネルギー相。同相は「日タイ両国は経済協力に緊密に取り組んでおり、新たなバイオ・循環型・グリーン(BCG)経済モデルとともに経済発展を加速させるためにサプライチェーンを統合し、グリーン社会に向けた脱炭素化を実行しつつあります」と述べ、労働力不足に直面する中では「長期的な競争力を維持するためにコストを管理し、損失を減らし、製品・サービスへ付加価値を付けるために製造プロセスと管理の変革が必要」と指摘しました。変革にはデジタル化、高速大容量規格「5G」接続、ビッグデータ、オートメーション(自動化)、ロボティクスなどのイノベーションやテクノロジーが必要であり、三菱電機が主導する日本の民間企業と日本貿易振興機構(ジェトロ)との緊密な協力により、EEC内で実現したと評価した上で、「これらのメカニズムは、タイの産業変革や、国家戦略および経済社会開発計画に沿った『タイランド4.0』推進に不可欠」と締め括りました。

続いて梨田和也駐タイ大使は「タイの産業発展の歴史は自動車産業を中心に、製造業に携わる日本企業とタイ企業が二人三脚で築き上げてきたもので、その主要舞台がEEC地域でした。今、製造業は『デジタル』と『グリーン』によるイノベーションで新たな局面を迎えています。製造業にとって、生産性を飛躍的に向上させるためには生産現場へのDXの導入が必要不可欠です」とした上で、「こうしたモノづくりのアップデートには、長らくタイに産業アセットを築き上げてきた日本企業のノウハウに『一日の長』があります。特に、ファクトリーオートメーション(FA)では、三菱電機がEECのブラパー大学に設置した『EECオートメーションパーク』が、日タイの産学官が連携した好事例であり、こうしたクロスオーバーな協力案件が今後ますます生まれていくことを期待します」と述べました。

三菱電機ファクトリーオートメーションタイランド提供

梨田大使はまた、タイの脱炭素化の取り組みを日本は官民を挙げて貢献していくとした上で、「日本の自動車メーカーはハイブリッド(HV)やエコカーなど環境負荷の低い製品を普及させてきました。バッテリーEVにおいても、日系メーカーはタイの自動車産業を牽引していくでしょう。また、水素、燃料アンモニア、CCSなどカーボンニュートラル実現に不可欠な先進的なエネルギー分野においても、日本には有力なプレイヤーがたくさんいます。日本政府は、こうした分野において日本企業のタイでの挑戦を後押しします」と訴えました。

スマートファクトリー、5年以内に1万工場に

その後、セミナーでは「EECのデジタル化と脱炭素化の推進」をテーマに3人が講演。まずEEC事務局のカニット事務局長は「三菱電機とそのアライアンス(企業連合)の協力が成功し、EECオートメーションパークはロボティクスと自動化の知識ハブとして構築されました。これは、タイの産業部門がEECでのインダストリー4.0に向けて革新的製造方法を採用するスマートファクトリーへの変革を奨励するものです」と評価しました。また、日本の経済産業省、日本貿易振興機構(JETRO)、盤谷日本人商工会議所(JCC)と協力して、日本の投資家にロボティクス、自動化への投資と推進を呼びかけていることを説明し、タイのデジタル産業への投資額は3年以内に5000億バーツを超えるとキングモンクット工科大学トンブリ校のフィールドロボティクス研究所(FIBO)の予測を紹介しました。このうち「EEC域内での5G、ロボティクス、自動化への投資は、年間500億バーツ以上になり、タイの人々に雇用と収入をもたらし、タイの製造業の競争力を向上させるでしょう」と述べました。

三菱電機ファクトリーオートメーションタイランド提供

そして「今年はEEC内の200以上の工場を対象として、スマートオートメーション実現に向けシステムインテグレーション(SI)を導入し、2025年までには6000以上の工場が対象になります。『Digital Manufacturing 4.0』水準のスマートファクトリーは、5年以内に少なくとも1万工場になると予想されています。これにより、生産コストの削減、機械の休止の削減、労働負担の軽減、エネルギーの節約などとともに、タイの産業部門のアップグレードに役立つでしょう」との見通しも示しました。

三菱電機ファクトリーオートメーションタイランド提供

また、ジェトロ・バンコク事務所の竹谷厚所長は炭素削減に関する日タイ協力について、「2022年1月に日本とタイは、タイのBCG経済モデル、タイへの日本の民間投資、カーボンニュートラルを目標とする日本の環境にやさしい成長戦略などの重要政策を支援する覚書(MOU)に署名した」と報告。また、「製造業におけるデジタル化、自動化、労働集約度の削減は、タイが強力なグローバルサプライチェーンのハブの地位を確立する『タイランド4.0』の鍵であり、EECをその中心に据えています。これを支援するために、ジェトロは自動ロボット、日・東南アジア諸国連合(ASEAN)海外サプライチェーン創出、人材開発などの幾つかのプロジェクトを承認。さらに、日本企業とASEAN企業が協力してデジタル技術を用いた経済・社会問題への取り組みを実証する『アジアDX』推進プロジェクトも承認しました」と説明しました。

竹谷所長は三菱電機について、e-F@ctory(インダストリー4.0 + 5Gモデルライン)のコンセプトを開発し、企業連合と共同でブラパー大学にオートメーション、ロボティクスについての人材育成および学習センターとしてEECオートメーションパークを設立したと改めて紹介。「その目的は、5G接続技術を組み込んだデジタル生産ラインの自動化によるタイの製造技術のレベルアップです。また、25以上のカリキュラムを備えた、産業労働向けの自動化専門知識の開発ハブになることも目指しています」と説明しました。

カーボンニュートラルの達成も支援

三菱電機ファクトリーオートメーションタイランド提供

続いて三菱電機 FAシステム事業本部の古谷友明機器事業部長は同社の具体的な取り組みについて紹介。「世界の製造業のデジタル化に合わせ、三菱電機は2003年に導入したe-F@ctoryコンセプトでFAとITを活用し、世界中の4万社以上の顧客を対象に製造プロセスの改善などの支援をしてきました。またASEAN、日本、台湾、韓国、インド、欧州、米国など世界の1050社以上の企業が参加する『e-F@ctory Alliance Partner Association(eファクトリー・アライアンス協会)』を設立。2019年にはタイでも同協会が設立され、現在までに60社がパートナーになっています。そこでは工場でIoTシステムをどの程度利用すべきかなどの工場管理計画を提示するために、SMKL(Smart Manufacturing Kaizen Level)に基づく新しいソリューションを導入しました」と説明しました。

さらに、「三菱電機は、包括的なCO2削減ソリューションと、工場の各種設備で使用されるエネルギー・炭素排出量を監視できるSCADAソフトウエアを提供している数少ないメーカーの1社です。このソフトウエアは省エネ支援アプリケーション『エコ・アドバイザー』とも統合され、これらの優位性は欧州の自動車メーカーのカーボンニュートラルコンテストで高く評価されました」と報告。タイ政府が2050年までにカーボンニュートラルを達成するための国家戦略としてBCG経済モデルを確立したことに対応し、「三菱電機はこの目標の認知を促進するために産業界を支援する準備ができています」と述べました。

三菱電機ファクトリーオートメーションタイランド提供

このほか、「デジタルマニュファクチャリング・エコシステムの育成の現状と今後について」と題したセッションではタイのe-F@ctoryの全事業を統括する三菱電機ファクトリーオートメーションタイランドのウィチエン社長が、「タイの産業部門に自動化技術を導入する際のエコシステム構築で連携してくれたすべてのパートナー」に感謝の意を表明し、「その技術移転は包括的で、ハードウエア、ソリューション、ソフトウエア、人材育成を含みます。EECオートメーションパークはタイ経済を推進するEECの中心であり、数年以内に200カ所以上の工場をスマートファクトリーに転換することが目標です。タイの『インダストリー4.0』の目的は経済成長ですが、企業の社会的責任も同様に重要です。低炭素社会、カーボンニュートラルな社会を達成すると同時に、目標とする投資収益を生み出すことが本当の成功」と強調しました。

三菱電機ファクトリーオートメーションタイランド提供

同セッションにはEEC人材開発センター(EEC-HDC)の責任者であるアピチャート博士も参加し、「EECは先端技術産業で必要とされる人材の育成に関して日本政府や民間部門と協力しています。3年間の目標は、5G、デジタル技術、およびネットワークについてのスキル(New Skill、Up-Skill、Re-Skill)のトレーニングを通じて5万人以上の人材を育てることで、三菱電機とeファクトリー・アライアンス協会が主導するEECオートメーションパークが取り組みます。現在までに自動化のトレーニングを受けている人材は1000人以上で、2022年末までには2000人がトレーニングを受けられるでしょう」との見通しを示しました。

三菱電機ファクトリーオートメーションタイランド提供

▼本イベントのプレスリリースはこちら▼
タイ語:https://www.mitsubishifa.co.th/th/
英語:https://www.mitsubishifa.co.th/en/

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執筆 mediator

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