【対談】ツルハドラッグの仕事で多くを学んだ 後編 - mediator

Blog 【対談】ツルハドラッグの仕事で多くを学んだ 後編

2018年06月18日 (月)

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1号店オープンで大感激

ガンタトーン:ツルハドラッグのタイ1号店がエカマイゲートウェイにオープンしたのは、2012年の7月18日でした。この日のことはよく覚えている?
オー:もちろんです。1号店だから、日本からツルハの会長もいらっしゃったし、サハグループの会長も立ち合われた。取り引き先もたくさん足を運んでくれて、ああ、ようやく始まるんだなと感激しました。
ガンタトーン:オーちゃんは現場に入って出店準備にはどっぷりと関わっていたから、思いもひとしおでしょう。何が一番大変だった?
オー:スタッフの教育かな。タイと違って、日本の小売業のマニュアルってすごく細かいじゃないですか。とにかくお客様最優先だし。
ガンタトーン:タイではありえない(笑)。
オー:タイ人は合理的というか、必要なことしかやらないから(笑)。でも、ツルハドラッグは日本発のお店だから日本流で臨まないといけない。シュークリーム店に勤めていた時代のころを思い出しながら日々、準備作業に追われていました。

1つの店をオープンするプロセスを実地で学んだ

ガンタトーン:オーちゃんは日本に出張して、ツルハの現場やオフィスを視察してきたことがあったよね。
オー:はい。日本のツルハの店やオフィスで1日の仕事の流れをつぶさに把握してきました。かなり內部にまで入り込んで、スタッフ同然の仕事をさせてもらったことは得難い経験だったと思います。エンドの陳列はどうすればいいのか、滯留時間を長くするためにはどんな仕掛けがいるのか、ついで買いを誘うPOPの書き方、POS管理の方法、在庫の棚卸し、万引きへの対応まで、1つの店をオープンしてオペレーションしていくノウハウは、現在も通訳やコーディネート業に役立っています。
ガンタトーン:オーちゃんはタイに戻ってきたばかりだったから、日本の仕事のやり方が身についていたのもよかったかもしれない。
オー:そうだね。タイに戻ってきてセントラルデパートに出かけたら、お店の従業員がおしゃべりして攜帯電話をいじっていたことにびっくりしたもの(笑)。なんでちゃんと仕事をしないの!って。
ガンタトーン:まるで日本人(笑)。

一(いち)消費者としても支援したい

ガンタトーン:その後もツルハドラッグは出店を進めながら、黒字化の見込みのない店を閉めるスクラップアンドビルドで事業を進めています。オーちゃんは現在のツルハをどう見ていますか?
オー:300坪クラスの郊外型店舗にこだわって出店していますよね。ようやく成功パターンが見えてきたのではないかと思います。最近出した店は売り上げが伸びているようなので、ぜひこのままがんばってほしいですよ。
ガンタトーン:マツモトキヨシもツルハに続いてタイに進出しているけど。
オー:日本のドラッグストアはまだタイに根付くところにまでは至っていないので、両者が手を組み、タッグを組んで「日本代表」でやっていくのがいいんじゃないかな。
ガンタトーン:そうだね。タイに進出した小売業はまだどこも「これ」といった成功例は作れていないけれど、ドラッグストアはなんとかじっくりとタイに根を下ろしてほしいよね。そのポテンシャルはあるはずだから。
オー:そう思う。いまは、月1回のスーパーバイザーや店長会議に出席するだけだけど、何らかの形でツルハのサポートはしていきたいです。一(いち)消費者としても応援しているんですよ。いまでも何かあるとツルハで買い物しているぐらいだから(笑)。

タイへの投資を促すことができた

ガンタトーン:僕は、オーちゃんがツルハドラッグの仕事をしっかりと遂行してくれたので、空いた時間を別の仕事に注ぐことができた。本当にオーちゃんには感謝しています。
オー:ガンちゃんは経営者だからね。経営者として動いてくれた。
ガンタトーン:それまでは正直なところ、仕事でのお金の取り方もろくに知らなかったから(笑)。特に大きな報酬もなくて、通訳や翻訳など小さな案件ベースでお金を得ていたに過ぎなかった。でも、ツルハドラッグの仕事を経て、経営者として一歩踏み出せたのかな、と感じています。
オー:自信もついたよね。日本の小売業にもタイの小売業にも詳しくなった。これは貴重な財産だと思う。
ガンタトーン:一(いち)タイ人としては、ツルハドラッグのタイ進出が実現したことで、多くのサプライヤーも後を追って進出した。投資を促すことができたことは僕が誇りに思っていることの1つです。
オー:卸売業者とかシステムの会社とか、本当にたくさんタイにやってきたから。
ガンタトーン:言うまでもないけれど、日本とタイをつなぐプラットフォームになることがメディエーターの目標です。これからもオーちゃんには活躍してもらわないと。
オー:成長していく過程ではお互いに行き違いもあったし、言い合いもしたけれど、私がメディエーターから出ていくことはないから安心して(笑)。お互いの意見を率直に言い合う時間は必要だけどね。
ガンタトーン:意見、大歓迎。オーちゃんがいてくれるから僕は安心して動き回れる。これからも意欲的に新しい仕事を開拓することを約束します!

mediator のすべて」とは?

このブログは、「日本とタイをつなぐプラットフォームになりたい」その思いのもと mediator を立ち上げた代表のガンタトーンが、過去を振り返り、現在をどう過ごし、未来をどうかたちにしていくのか…今の気持ちを素直に表現したブログです。
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執筆 三田村 蕗子

ビジネス系の雑誌や書籍、Webメディアで活動中のフリーライター。タイをもう一つの拠点として、タイはじめとするASEANの日系企業や起業家への取材も手掛ける。新しい価値を創出するヒト、店、企業の取材が得意技。コロナ禍で絶たれたタイとの接点をどう復元するか模索中。

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