第2回|コアメンバーの意識が変わり、生まれる「良い対話」(古河ファイテルタイランド × Coach A) - mediator

Blog 第2回|コアメンバーの意識が変わり、生まれる「良い対話」(古河ファイテルタイランド × Coach A)

2020年06月10日 (水)

企業取材記
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自分たちにはグループ内のエクセレントカンパニーに成長できる可能性がある。そんな確信をもとに、目標を社員と共有するため、古河ファイテルのMD、小神野毅氏はコーチ・エィのコーチングを取り入れました。果たして、コーチングはどのように進められ、どんな成果をあげたのでしょうか。お話が続きます。

まずコアメンバーを温めていく

ガンタトーン:みなが目標を共有し、そこに向かって主体的に動けるように、古河ファイテルさんはコーチングを導入されました。具体的な進め方について教えてください。

青木:コーチングを始める段階では、自分たちが目指すべき方向性についてクリアに理解されていたのは小神野さんだけでした。そこで、小神野さんの熱い思いが他のメンバーに伝わり、みなが小神野さんと同じくらい温まるようにパイプラインを作ることが重要だと考えました。パイプラインができれば、そこに流すものはもう決まっています。まずはコアメンバーを決めて、小神野さんの意図や思いをコアメンバーに伝え、そこから他のスタッフも温めていく。コアメンバーが他のメンバーを牽引していくイメージですね。コアメンバーに伝わるまでの期間は約1年を想定しました。それだけの時間があれば、コアメンバーもじゅうぶん温まっていくだろうと考えました。

ガンタトーン:コアメンバーはどのような基準で選出したんでしょう?

小神野:この先、社長が変わっても、いまの活動が社内で自主的に進んでいくように、リーダークラスのスタッフ約30名から、前向きな姿勢があり、影響力がある人を条件としてコアメンバーに選出しました。人数は全部で6人。内訳は、タイ人が4人、日本人が2人です。

ガンタトーン:選ばれたコアメンバーはみな快諾してくれました?

小神野:とりあえず誰からも拒否されることはなかったです。

ブラニー:実は私はお受けするのは少し迷いました。コミュニケーションのスキルが身につく良い機会だとは思いましたが、そろそろ定年に近づいていたので、私に投資してもらっていいのだろうかと考えたんです。

ガンタトーン:アピラックさんはいかがですか?

アピラック:これまでのMDとは会話が少なかったんですよ。なので、トップマネジメントが自ら動いて「やるぞ!」と声をかけてくれたのはうれしかったです。

ブラニー:そうですね。小神野さんは、ロジカルでコミュニケーションに熱心。プロジェクトを積極的に打ち出す姿勢も持っています。

問題が起きても責任転嫁せず解決に動くように

ブラニー:実は最初は、コアメンバー6名の中にネガティブに捉える人もいました。「忙しいのに」という人もいれば、「自分たちが貢献できるのか」「コーチングの初心者だからちゃんとできなかったらどうしよう」という自信がない人もいました。中には、「KPIを達成するための会でしょう」と割り切っている人もいましたね。

アピラック:賛同している人、よくわからない人、否定的な人など、コアメンバーになったことへの受け止め方はそれぞれ。見えないものは信じられないという人はネガティブでした。

ガンタトーン:いろいろな反応がある中で、実際にコーチングを進めてみて、コアメンバーはどのように変わったんでしょうか?否定的な人も変わりましたか?

アピラック:変わりましたね。コアメンバーはみな、コミュニケーション力が鍛えられたと思います。ある後輩エンジニアから聞いたのですが、彼が進めようとしていたプロジェクトに関して、コアメンバーの上司が彼と話す時間を積極的に設けたんだそうです。それによって、彼は自分がいまやろうとしていることが正しいのかどうかレビューできて良かったと言っていました。他の部署とのコミュニケーションも活発になりました。以前は、何か問題が起きると、互いに文句を言い合って、すぐ「誰の責任だ」という話になりがちだったんですが、いまは問題が起きたら「これは会社の問題である」という認識のもと、誰が何をやればいいのかをみなで明らかにしていこうというモードになりました。

ブラニー:私も、コアメンバーは間違いなく変わったと思います。コミュニケーションの大切さがよくわかったので、外部から専門の講師を呼んで、コミュニケーションをテーマにした研修会を5回実施しました。

アピラック:会話の中身が変わりましたよね。責任を押し付け合うのではなく、課題を解決しようという意識が芽生えて、課題解決に集中するようになりました。コミュニケーションの方向性が変わったんだと思います。コアメンバーがいない部署でも、課題解決に向けて動きだしている気がします。会社の目標と自分の目標がどう紐付いているかもしっかり認識できたので、このプロジェクト以外でも自ら主体的に仕事に取り組まなければというオーナーシップが芽生えました。やはり仕事は自分で考えて、自分でやる方が力が入りますよね。「自分ごと」になります。

助け合いの精神が高まった

ガンタトーン:お二人のお話から、コーチングが社内を変えていったことがよくわかりました。小神野さんはコーチングの成果をどのように見ていますか?

小神野:二人の話と同じですね。会話の中身が本当に変わりましたね。仕事を他の部署に頼みやすくなりました。お互い、助け合いの精神が高まってきたように思います。以前は仕事を頼むと、嫌がられることが多かったようですから。全体的にコミュニケーションレベルが上がり、みなの考え方が前向きになりました。会社を成長させるには3つの側面から押し上げることが必要だと思うんです。一つは、内部のスキルを上げること。システム化や自動化を進めたり、5S(※)を徹底するといったことですね。二つ目は外とのコネクションを強化すること。こんなに良い会社なんだ、こんなに能力があるんだと自分たちの強みを外部に訴求する力ですね。三つ目が意識改革。この3つが揃えば、会社は勝手に成長していくはずです。車輪が自動的に回っていきますから。※5S:整理・整頓・清掃・清潔・躾

ガンタトーン:すでに車輪は回り始めましたか?

小神野:もうひと押しです。私が赴任している間に、それができるかどうか。なんとか実現させたいと思っています。

ガンタトーン:なるほど。そのひと押しについて、次回、詳しくお聞きしたいと思います。

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執筆 三田村 蕗子

ビジネス系の雑誌や書籍、Webメディアで活動中のフリーライター。タイをもう一つの拠点として、タイはじめとするASEANの日系企業や起業家への取材も手掛ける。新しい価値を創出するヒト、店、企業の取材が得意技。コロナ禍で絶たれたタイとの接点をどう復元するか模索中。

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