TCCグループ|タイ国税収の約4%を担う巨象、チャーンビール - mediator

Blog TCCグループ|タイ国税収の約4%を担う巨象、チャーンビール

2019年02月28日 (木)

企業取材記
TCCグループ|タイ国税収の約4%を担う巨象、チャーンビールのメイン画像

在タイ日系企業の事業運営にちょっとしたヒントをお届けするコーナー「miraiの知恵袋」。今回は、新興財閥と呼ばれるタイの経済発展を支えた大手3社のCP Group(1921年創業)、Central Group(1947年創業)、TCC Group(1960年創業)の一つTCC Groupを紹介します。

TCC Group 目次
1. 競合はシンハービール1社のみ。新規参入でビール業界をひっくり返す
2. タイの全税収の約4%がThai Beverage。次に巨象が目指すのは世界

競合はシンハービール1社のみ。新規参入でビール業界をひっくり返す

象がシンボルの緑のラベル、チャーンビールのメーカーがThai Beverageです。訪問時には大勢の社員の方々に迎えられ、できたてのビールの飲み比べや新商品の炭酸緑茶の試飲等、盛大にもてなしていただきました。

Thai BeverageはTCCグループの5つの事業分野(飲料・食品、不動産、消費財、小売、金融)の中で飲料・食品の分野を担っており、緑茶ブームの火付け役、OISHIグループも傘下に持っています。ビール製造への参入はまだ25年余りと短いのですが、当時、競合がシンハービール1社であったことに目を付け、低価格戦略と企業買収により急成長しました。他の財閥企業と比べて歴史の浅いTCCグループは、小売などの川下産業には大きなシェアを持っていません。そこで、販売には代理店を経由しTT(伝統的流通 ※略称TTと呼び、昔から運営されている市場やパパママショップを指す)が76%と主な流通先となっています。MTは12%、飲食店との直接取引も同じく12%です。

「安い」だけではなく味にもこだわりがあり、ドイツでビール醸造を学んだ優秀な若手社員をブリューマスターと呼び26人から成る専門委員会を設置。ブリューマスターは味のみならず、ビール瓶の色やデザインなども工夫し、チャーンビールの売上を20%から40%にまで伸ばすことに成功しました。マーケティングやブランディングにも力を入れており、消費者調査も重要視しています。アルコール飲料の規制が厳しいタイでは、PRの際に芸能人やマスコミ、CMを使った派手なマス広告が認められないため、まだ規制の緩いオンライン(SNS)やイベントが主な手段です。

タイの全税収の約4%がThai Beverage。次に巨象が目指すのは世界

工場にも案内いただきましたが、スタッフの少なさに気がつきます。ビアティップ工場では、最新の設備を取り入れ自動化が進み、低コストで大量生産を行っています。製缶会社も買収し、効率化と規模の経済性を追求した努力が、低価格戦略による成功に繋がっています。

アルコール飲料には厳しいタイですが、驚くことに、タイにおける全税収の約4%がThai Beverageによるものだと言います(ビール1本あたり70%が税金)。アルコール飲料は規制しつつも税収は確保したい国の事情がうかがえます。ある意味で国を支えるThai Beverage側もこうした背景のもとCSR活動にも力を注いでおり、農村部での教育活動や医療関連施設への投資、スポーツ観戦のスポンサーなど社会貢献に取り組んでいます。

目標は、2020年までにビール業界NO.1。主にASEAN、メコン経済圏を攻め、先進国でのブランディング活動も強化していく予定です。彼らの眼に映る敵はシンハーではなく、世界にあります。

mediatorの画像
執筆 mediator

Related Blog 関連ブログ

mediator newsletter

「mediator newsletter」は、日本とタイの最新情報をお届けするメールマガジンです。 ぜひ、タイでのビジネスにお役立てください。 購読をご希望の方は、右記よりご登録ください。